心理学的行動実験のプログラムについての備忘録

新型コロナ騒動で対面での実験ができないため、オンラインでできる心理学的行動実験(脳計測を伴わない実験)のプログラム作成について模索したので備忘録を残しておく。

①オンライン実験の妥当性

まずオンライン実験について学術的にどう捉えられているかを整理する。結論を言うとある程度妥当性が検証されており、一流紙にも掲載されている。

  • 最新の論文
    2019年にNature Human BehaviourというNature系列の一流紙に掲載された論文でオンライン実験を採用している(Teng and Kravitz, Nat Hum Behav, 2019)。これが自分にとってはオンライン実験を導入しようという契機になった。
  • Stroop課題やSwitching課題、プライミングなどの一般的なタスクがオンラインで妥当な結果が得られるかを検討した論文(Crump et al., Plos one, 2013)もあり、概ね問題なさそう。ただし謝金は重要。
  • 妥当性についてのまとめ
    こちらのNote記事に論文が整理されており妥当性がある程度検証されている。

②オンライン実験でできること

簡単なアンケートだけでなく、割と緻密な制御が必要な実験も可能で、これを利用することで脳機能を推定することもできる(上記のNat Hum Behavの論文がそれ)。

③使用するプログラミング言語

私は普段Matlabで書いているが当然オンライン実験では使えない。他にもあると思うが今回は以下の選択肢を検討した。

  • Javascript
    ブラウザ上で動くため扱いやすく情報も豊富。時間の制御が難しそう(呈示と計測の扱いに苦労しそう)。というのもJavascriptは非同期的な言語らしくプログラムを書いても単純に上から順に実行するわけではないらしいので(参考)。
  • jsPsychツールボックス
    Javascriptのツールボックスで、心理実験を行いやすくしてくれる。特に時間の制御はかなり楽になる。当初これで進めようとしたが、どうも画面上の中央にしか刺激や文字を呈示するのが難しく苦戦しそうだった。単純に画面中央に文字を順々に出していけば良いようなStroop課題などはこれで十分。(参考:公式サイトjsPsychを発表した論文いい感じのまとめ)。
  • jsPsych-Psychophysics
    上記jsPsychツールボックスにさらに追加するプラグイン。痒いところに手が届くものになっていて
    ①視覚刺激を指定した座標で表示できる
    ②ディスプレイ更新に同期して刺激呈示が可能で時間的に正確
    ③マウスクリック位置を保存できる
    など重要な機能が簡単に追加できるらしい。九州大学の黒木先生により作成。(参考:公式サイト)。

④まとめ

ということでJavascriptにjsPsychツールボックス+psychophysicsプラグインを組み合わせるのが良さそう。勉強中のため適宜追記します。

2020.7.4